歳を重ねるルパン

| (ルパン三世) | コメント(0)

ルパンは成長しない、変わらないキャラクターだと言われます。だからこそ作品が長く続くのだと・・・。
なるほど、そうかもしれません。年齢的には大人である彼の成長とは、すなわち「諦め」や「妥協」を受け入れ「悟る」方向に進むことになるわけで、これはどう考えてもルパンらしくない。

といって全く年をとらないわけでもないようで、旧シリーズから新シリーズそしてPART IIIへと、彼らの中に流れた年月を――成長とは言い難いけれども変化を――感じます。
ルパンの推定(希望?)年齢はちらほら見ることがありますが、私的には、旧シリーズで20代半ば、新シリーズで30代前半→半ば、PART IIIで30代半ば→後半辺りに思えます。

ちなみに私が書くルパンたちは、大体30代半ば~後半であることが多いです。PART IIIに合わせてるワケじゃなく、自然と自分に近い年齢になってしまうだけですが(^^)
それにしてもPART IIIの彼らは、旧シリーズに比べて随分と丸くなっているけれど、軽快で明るく吹っキレていて、私自身が理想とする年の重ね方だったりします。

そういえば余談ですが・・・私はキャラクターを見るとき、どうしても自分と重ねてしまう癖があります。 高校時代、とある男性キャラが好みであるという話から、「そういうタイプが(異性として)好きなんだ?」と言われてビックリ!(笑) どんなヒーローであれ、私はキャラを異性として見たことなど一度もなく、常に自分自身の投影あるいは理想だったわけで・・・これって普通の感覚じゃないんですかね?(そのときは「普通じゃない」って言われたんだけど~ ^^;)

ところで。
マモー編の時期はというと、旧シリーズと新シリーズの中間辺りに位置するでしょうか。これは年齢というより、彼らの付き合い具合からその辺りかなと思えます。まだどこか腹を探り合っているような緊張が感じられるからです。

では「カリオストロの城」(以下「カリ城」)ではどうでしょう?
これは年齢設定がなされていたようです。出典は覚えていないけど、たしかルパン32歳、次元34歳、五右衛門と不二子は20代だったと記憶しています。
年齢的には新シリーズ、或いはPART IIIの前辺りに当てはまりそうですが――「カリ城」はどうしても同一時間軸の流れに乗らない気がしてなりません。
ルパンは「カリ城」において完結してしまっているからです。
緑ジャケットを着ているのも、旧シリーズの決着をつける形でルパンを締めくくるためでしょう。その先には新シリーズもPART IIIも存在しない。

「カリ城」のルパンは大人である、と感じます。よく言われるように「中年」と言い替えてもいい。
クラリスの「おじさま」呼ばわりを受け入れてるとか(^^)、そんな表面上のことではなく・・・むしろ表面的にならガキっぽいところもたくさん見られます。
どこか、落ち着いてしまっている。
心の奥で「諦め」や「妥協」の存在を(屈しないにしろ)知っている、分別の備わった「大人」に見える。
それが物足りない。否、なんとも寂しい。納得いかない。
作中でルパンが昔の自分を回想するシーンがあります。30代にもなれば10年も前の若気の至りを苦く振り返ることだってある。ノスタルジックな気分に浸ることだってある。それはイタイほどわかります。ルパンにだってそんな時があったっていい。
だけどその回想が、過去(新旧シリーズ)を否定しているかのようで・・・辛い。
私たちの好きなルパンはもう(すでに)いないのだと告げられたかのようで・・・哀しい。
この感覚は、新シリーズの最終回にも通じるところがあります。
(この辺を語ると長くなるので、また別途に ^^;)

それはともかく。
大人なルパンたちということならPART IIIにも感じます。が、それは「カリ城」とは決定的に違うのです。
PART IIIの彼らは明るく軽快で、とても楽しそうです。しかしあくまで悪党世界に身を置いています。ある方が「ギャングのファミリー」と例えたのには苦笑しちゃいましたが、確かに良くも悪くも言い当てている気がします。
面白いのは、PART IIIでも昔の失敗に関わる話が何度か出てくることです。
しかし、「お互い悪党同士だ、大切なのはおタカラよ」と言い切り、戴くものはきっちり戴きつつしっかり借りを返しています。「まだ若かったからな」と振り返る言葉にもノスタルジーはありません。
PART IIIにいるのは、自分のための泥棒を楽しみスリルをこそ生きがいとする、現在進行形のルパンたちです。いままでもこの先も、ずっとそうして生き続けていくのだと感じさせてくれる。
大人の分別や落ち着きが垣間見えることもあるけれど、根っこの部分はガキのままで。

違う形で年を重ねたルパンたちが登場する「カリ城」とPART III――
数多くの欠点を差し引いても、私はPART IIIのほうが好きです。ルパンにはいつまでも、粋に華麗に現役のまま生き続けて欲しいから。

と、ここまで書いて、ふと思いつきました。
もしも「カリ城」のルパンが50代以降だったとしたら。それならアリかもしれないと。
ちょっと枯れてきはじめたルパンがまだまだ若いゾとばかりに元気一杯動き回り、気まぐれで少女を助けてみたり、昔の自分に苦い想いを感じたり・・・不二子との関係が落ち着いているのも頷ける。
や、モチロン「そんなルパンはイヤー!」という方も多いでしょう。あくまで私個人の感想ですから、どうか気になさらないようお願いします(^^)

※ ルパンたちの年齢や時期について、上に挙げた以外の映画やテレスペには言及しようと思いません。(唯一「暗殺指令」は、やはり最年長に感じます ^^) こんなことを書きましたけど、「カリ城」という作品自体は好きです。上記についてはちょっと考えすぎな気もしますが・・・ただ、もし今現在、イキイキと生きているルパンたちが見れているのなら・・・「カリ城」にこんな寂しさを感じることはないのかもしれません。 ルパンたちが今本当にいないのだという事実を、改めて突きつけられる。彼らがすでに過去の存在であると思い知らされる。だから余計に辛いのかもしれない――なんて思ってしまいました。 やっぱり考えすぎかな?(^^;

コメントを送ってください

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://k-kon.sakura.ne.jp/mt427/mt-tb.cgi/194