イイヒト・・・?

| (ルパン三世) | コメント(0)

今更ですが、ルパンたちは犯罪者であります。
やむなく犯罪を犯したのでも、冤罪で追われているのでも、権力や社会悪に歯向かっているのでもありません。まぎれもない確信犯、愉快犯と言ってもいい。
が・・・それでいいんじゃないか?と、私は思います。

彼らがお宝を手に入れる確率は意外に低いです。とくにTVSPとなると、極めて低い。おまけに誰かのために動くことが多い。(ときには生活苦だったりもする)
泥棒がいい目をみてはいけないのか、或いはルパンは泥棒だけどイイ泥棒なんだよ、と言いたげな制作側(TV局?)の意向がみえみえな気がします。
しかし、イイ泥棒が存在するなんて半端な倫理観を持ち込むほうが、発想としては危険な気がするのは私だけでしょうか?

確かに、主人公たちが泥棒(まして愉快犯)なんて、倫理的に好ましいはずがありません。しかも銃をぶっ放し刀を振り回し、敵対した相手を殺すこともある。けれどそれを誤魔化すことのほうがよほど好ましくないはずです。
例えは違うかもしれませんが、火や刃物を周囲から排除するわけにいかないように、危険性のあるものに蓋をすることはかえって危い気がします。存在を隠したり誤魔化すのではなく、はっきり「危険だ」と示すべきでしょう。泥棒は悪である、と言ったところで、ルパンたちの魅力が薄れるわけでもなんでもない。

正義感、というのもルパンたちには似合わない。むしろ私としては「正義」などという感覚をルパンの世界に持ち込んでいただきたくない。(銭形がときに口にする「正義」は一般的価値観でなく「彼自身の信念」なので、それは別)
ルパンの動機や判断基準は、好きか嫌いか、面白いかどうか、または己の美学に反しないかで充分だと思います。誰かのために動くように見えても、それはあくまで自分の意思で己のため(義理や恩返しなども含めて)であってほしい。世間の同意など必要ない。ルパンがいいと感じれば、それでいいのです。リスクは彼ら自身が負うのですから。

ルパンたちは自分が悪党であることを充分承知しています。
そして悪党としての誇りと覚悟を持っています。たとえ身を守るためであれ、放つ銃弾も振るう刃も、己にはね返ってくるものだと知っています。法や世間の価値観に従わない代わり、庇護してもらおうとも考えていません。


彼らは一見自由奔放にみえるけど、背負うものはとても重い。己を貫く生き方のために、己のすべてを――命を含めて存在そのものを――賭けている。
我が身ひとつで、己の力だけを頼りに。社会の枠から外れ犯罪者として追われつつ・・・。

とはいえ悲壮感などはどこにもなく、粋に飄々と、まさしく「楽しまなけりゃ今夜は生きる値打ちもない」とばかりに楽しんでいるわけで。
そんな悪党の美学ともいうべき生き方に憧れたところで、とても簡単に真似できやしません。それは彼らを見ていればわかるし、また、わかるような描かれ方をこそされるべきでありましょう。
作り手や放映側の責任はそういうところに表して欲しいですし、視聴者側も彼らが背負う重さをしっかりと受け止められる社会であって欲しいと願うものです。
(・・・って、随分カタい話になっちゃいましたね ^^;)

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