たかが創作、されど...

| (ルパン三世) , (新選組!) | コメント(0)

このところ取り憑かれたように土方さんや新選組の考察を綴ってきたことが、恥ずかしくなった。
今日、「組!」&続編での土方役・山本耕史さんと時代考証担当・山村先生の対談が載った歴史雑誌と、脚本担当・三谷さんのエッセイ本が発売された。
常々感じていることだが、このドラマの凄いところのひとつは、役者さんたちの嵌り具合だ。例を挙げればきりがないほど、彼らの言動が(直接作品世界や人物を語っていなくても)その核心に迫ることが度々あって、多くのことに気づかされる。
彼ら自身がドラマを越えたドラマになって、感動などという表現では足りないほどの衝撃を与えてくれる。
彼らは紛れもなくその役を生きたのだ...と思う。

三谷さんは「組!」を書き上げた後、ミヤコ蝶々さんをモチーフにした芝居を手がけられた。エッセイのその件で「あえてご本人には似せていない」と三谷さんは書く。決して本人を再現することは出来ないし、近づけたとしても"そっくりショー"になるだけだと。そうして"一女芸人"として掘り下げた劇中のキャラクターは、結果として、ご本人をよく知る方々から「よく似ている」と言われたそうだ。
これを読んで、震えがきた。
創作とは、そういうものなのだ。
そうやって描かれたドラマを真摯に生きた役者たちの言動が、ときに歴史家の解説より的を射て感じられるのは当然なのかもしれない。

"史実"を軽視するつもりはない。けれど、それは歴史の断片でしかなく、しかも記録者(の私見や立場・状況)を経て残されたものだ。それらを研究する学問(もちろん大事なことだが)と、事実の本質が結果としてズレることだってあるだろう。
素人ながら考察する楽しみもまさしくそこにあるわけだ。が、役者たちの"実感"には敵わないと感じることが多い。これらを先に読んでしまっていたら、今までの記事は書けなくなってしまったかも。よかったのか悪かったのか...(苦笑)
とはいえ今後も懲りもせず書き続けていくけれど。自分の頭と心で考えることも大事だから。

あともうひとつ反省させられるのは、三谷さんを含めて皆がとても謙虚であるということ。
謙虚は謙遜とは違う。ただへりくだってみせるのではなく、ひどく冷静に客観視できる目をもっている。どれほどドラマに入り込んでも己の世界に酔うことなく、常に実在の人たちに敬意を払い、ドラマはドラマとしっかり認識している。だからこそ的確な思考が出来るのかもしれない。
......見習わなくては...!

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