Book Baton

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書きたいことはあれこれあったのに、前の記事とその反応の衝撃(笑撃^^)で吹っ飛んじゃいまして。
いやいや、タイミングやら時間の都合やらで今気軽に書けるネタがなかったんです。そしたら、みゆさんの日記に興味深いモノを見つけました。
それが「Book Baton」。
なんとかバトンって、近ごろいろんなブログで見かけますね。流行なのかな~と他人事のように眺めていましたが、設問の少なさが気に入って(笑)いただいてきちゃいました。

(以下、作家の方の敬称は略します)

★持っている本の冊数

今までかなり処分してきたので、それほど多くないと思ったんですが...。
大きさにもよるけど、本棚数段で100冊くらいになっちゃうんですね。押し入れにもあるし、ムック類や漫画も加えれば......やっぱり1000冊は超えるかなぁ。
おそらく小説は1/4程度で、ほとんどが歴史か時代もの。漫画も1/4くらいあるかな。残りは人文・社会・歴史系の読み物とか資料、科学系や仕事関連の参考書ですね。
小説が少ないのは図書館で借りることが多かったせい。買っちゃうと山になるのがわかってるので...。借りるほうが溜めずに読むしね(^^;

★今読みかけの本 or 読もうと思っている本

読みかけの本は...拾い読みが多い資料系は除くとして。
子母沢寛の「勝海舟」(全6巻)、ずいぶん前から途中で止まってますね。あ、司馬遼太郎の「竜馬がゆく」(全8巻)と、「翔ぶが如く」(全10巻)も読みかけだったかな?
どれも面白くはあるんですけどね。司馬氏の小説は昔すごく好きでよく読んでましたが、上昇気流に乗れる気分でないとついていきにくいというか(私にとってですが)...数年前から停滞気味です。でも新選組関係は最近読み返したけど。

読もうと思っている本は、購入済みで未読の新選組関連本。どれも小説ではないですが。暖かくなったら図書館に出向いて小説も借りてきたいな。
あ、ルパンマガジンも買っておいて読んでなかったんだっけ...;
それと処分するつもりの本数十冊。もう一度読んでから手放したいので。(でもその結果手放せなくなることもしばしば/苦笑)

★最後に買った本(既読、未読問わず)

豊福きこう「ルパン三世はなぜ盗むのか?」
お仲間の方々からオススメもあって、まだ読む時間がないけど手に入れておこうと購入しました。
データ系っていろいろ発見があって面白いですよね。これも早いうちに読みたい本です。

★特別な思い入れのある本、心に残っている本5冊(まで)

む~、5冊か。
迷ったんですが、自分を変えた本というコンセプトで選んでみました。

・藤沢周平「三屋清左衛門残日録」
まずは小説から一冊。最初に読んだ藤沢氏の本です。
身近に仕えた藩主が亡くなって隠居を決めた清左衛門。代替わりした若者たちを温かく見つめ、ときに若い頃の思い出や因縁を引きずり、淡い恋情を抱いたり、藩内の権力抗争に巻き込まれたりしながら、老いに直面していく姿が静かで軽妙な筆致で描き出されます。
ドラマが良かったので購入したんですが、地味で淡々と綴られているのに深く濃い味わいがあって、温かさと切なさとユーモアが同居していて、こんな世界があるのかと驚嘆しました。自分自身を見つめ直すきっかけにもなったし、これを機に時代小説にのめり込むようになりましたね。
とにかく目線がとても心地好い。小説の中と我々とは時代も境遇もまるで違うのに、間違いなく地続きの同じ地平に立っている感覚で。否、まるで違うからこそ表現できることがあるんだと知らされました。...あ、この感覚って「新選組!」にも通じるものがありますね。ナレーションっぽい距離を置いた解説がほとんど入らないところも共通します。
自分が書いているのはルパンの二次創作小説で、まるで世界が違うんですけど、やっぱり原点は藤沢氏の時代小説にあります。影響受けまくりです。...なんて言うのもおこがましいくらいですが。
藤沢氏の小説はどれも好きです。願わくばもう少し長生きしていただきたかった...(涙)

・菊池明 編「土方歳三、沖田総司全書簡集」
資料系から一冊。全書簡の写真が載っていて、内容というより文字そのものに衝撃を受けました。
初版は10年前ですが手に入れたのは昨年です。存在は知っていたものの、このテの本を買うほどマニアでもないし...とスルーしてました。自分がマニアの域に入ったことも否定できませんが(笑)、購入を決めたのは直筆写真から彼らの息吹が伝わってきたから。草書なので自力では読めないんだけど、それでも本人の筆跡から言葉以上のものが感じられます。
ほとんどが土方さんの手紙なんですが、大ざっぱに言うと、多摩・江戸にいる頃は小さく優しい字で一行一行が細い。それが京に上ってから俄然勢いづいて、大きくて左右に動きのある字体になり、また時が経つといくらか滑らかな筆運びになって、最後の方では少し細かくなるんです。そして全体を通じて行間が広い。
字は人を表すとも言うけど、とにかく上洛以降は大胆かつ繊細な筆跡で、それに「絵になる」というと変ですが...飾ってもいいと思える美しさもあったり(^^;
対して総司の字は細かくて行間が狭い。筆遣いは自由だけど、墨も多くてぎっしり詰まってます。それも次第にすっきりして、行間もだんだん広くなるんです。人間的成長も背景にあるのかと邪推したくなりますね。
この本には載っていませんが、勇さんの字はまた丁寧で読みやすくて、堅実な印象なんですよ。やっぱりそんな人柄だったのかな...なんて思ってしまいます。勇さんの直筆が全て載った書簡集もぜひ出版して欲しいです。(総じて勇さん関連の本って少ないんだよな...)

・金谷治 訳注「孫子」(岩波文庫)
古典から一冊。ナポレオンも愛読したという世界的に有名な中国最古の兵書。
あまり興味がない方も「敵を知り己を知れば百戦危うからず」の言葉はご存じでしょう。
人生は戦いだ!なんて言うと極論ですが、本気でそう思っていた頃にこの本を手に取りました。もちろん戦いに勝つために。が...そこに書かれていたことは想像とは違っていました。
百戦百勝などは愚であって、戦わずに勝利を得ることこそが最善であると。真の戦巧者には、人に知られる名誉や手柄がないものだ...と。目から鱗でした。
決して理想論ではなく、内容はドライでシビアです。例えば「兵とは詭道(きどう)なり」――戦とは卑怯なもんだ(意訳)というのも、被害を最小にとどめるためでもあって恥じている場合じゃない。戦を甘く見るなという警告が、全体を通じて読み取れます。
ある意味、「孫子」に書かれているのは当たり前のことばかりです。でも、その当たり前がいかに難しいか。先の「己を知る」だけでも到底簡単ではないわけで。
戦を避けるってことは、戦に勝つよりずっとずっと難しいことなんですよね。
ただ、誰にだって譲れないものがあるし、真剣さの副産物でもある衝突を避けてなあなあに生きりゃいいってモンでもない。まして火種を先送りするだけの安易な妥協に逃げていては、ある日突然大爆発...なんてことも有り得ます。
最悪の事態を防ぐための努力もまた戦いであり、それを怠らぬ人が真の戦巧者なのだと考えさせられたものです。

・頼藤和寛「頼藤和寛の人生応援団」
エッセイの類から一冊。著者は精神科の先生で、新聞に連載された人生相談の回答集です。
相談は多種多様。こちらが辛くなる深刻なものから、放り出したいほどアホらしいものまで。これがムチャクチャ面白い...というかぶっ飛んでます、回答が。腹を抱えて笑いつつ、切れ味の鋭さときたら斬鉄剣並み(笑)
理想論も気休めも現実の前では無力とばかり、容赦なく突きつけられるミもフタもない事実が痛快です。悩んでることがバカバカしくなります。
世の中は「不条理」で「理不尽」で「無茶な道徳に溢れて」いて、「善い人が悲劇を作ってしまうことも」あれば「しっかり者がぐうたら者を作る」し「カモがいる限りワルも生き残る」。一方で「何が幸いするかわからない」「何ごとも考え様」でもあって「楽しく生きる工夫」ができるのが人間なのだと。
...ダメだ。これじゃ全く面白さが伝わらん。
良薬は口に苦いし、人によっては劇薬並に刺激が強すぎるかもしれないので、手放しでオススメはできません。でも何か悩みを抱えておられるならダメモトで立ち読みなどしてみては。相性が合えば世界が開けること請け合いです。
もっともっと続けていただきたかったのに、5年前に53歳の若さでガンにより他界されました。死の2週間前、期を悟ってのご挨拶とともに届いた最後の原稿まで、ユーモア溢れる回答を貫かれた強者"応援団長"でした。
辛辣なまでの現実認識、人間心理の単純さと複雑さ。それらを厳しく温かく教えてくれたことは、私の言動に良くも悪くも反映されているはずです(^^;

・佐々木淳子「ブレーメン5」
漫画からひとつ。地球に住めなくなった実験体たちが、安住の地を求めて宇宙を彷徨うスペースオペラ。連載開始当初、お話の舞台は2155年で、描かれたのは昭和55年! どひゃー、30年近くも前だよ...(汗)
宇宙の神秘も、今は当時よりいろいろ解明されていますが、荒唐無稽なほど自由な発想が織りなす宇宙観は、今なお色褪せない斬新さです。出版社の事情から途中4年も中断したり、締めが少々強引になってしまったのは残念でしたけど、伝えたかった方向性には共感しました。(そういえばラストに出てきた"神"はルパンのマモーを彷彿とさせます^^)
全6巻ですが、一冊だけ選ぶなら2巻です。原始的だけど好奇心旺盛な岩石生物・ヴィーマーと、平和で高度な文明を持ちながら殻に閉じこもるネデとの対比。安住の地を求めていたはずの彼らが目的を転換する説得力。実に見事で今読んでも震えがきます。
最初に読んだのは高校生のとき。
進路を決めるにあたり、無謀な夢を追いかける自信と勇気がなくて、無難な道も視野に入れていた頃。竜宮の如き地に辿り着きながら「天国ってところは一生を終えてから行くところだ」と振り切ったタウロの選択に揺さぶられ、私も後に続いてしまいました。もちろん、感謝しています。

以下は選から漏れた本たち:
・子供の頃に熱中した、デュマ「三銃士」&大人になって読んだ原作「ダルタニヤン物語」(全11巻)
・心理的かつ論理的なトリックと散りばめられた笑いにハマった、泡坂妻夫「亜愛一郎の狼狽」(シリーズ4冊)
・幕末史からの視点&史実と虚構を見極める解説が嬉しかった、宮地正人「歴史の中の新選組」
・当時の仕事柄、恐怖と感嘆がしばらく頭から離れなかった、立花隆 訳「アポロ13号奇跡の生還」
・テキストを書くときのバイブルともいえる、外山滋比古「文章を書くこころ」
・宗教嫌いの自分が大いに共感する宗教観と人間味を描いてくれた、諏訪緑「玄奘西域記」(全4巻)
あとはもう...書ききれないっす...(^^;

★次にまわす人5人まで

まずは当然ながら、やっちさん!
それから...もしよろしければ、K七雲さんv
いやぁ、好きな書き手さんの回答を見たいのは当たり前でしょう。というか、まわしたくて自分も回答したようなモンですわ(笑)
そういうわけで(強引)、簡単で結構ですので、よろしくお願いいたしま~す!

コメント(4)

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バトン、受け取ってくださってありがとうございました!
5冊のラインナップとその本へのコメントに、konさんのお人柄が出てますよね。思わず「おおっさすがkonさんセレクション!」と思いました^^
「孫子」私も大昔に読んで、内容は大して頭に入りませんでしたが(阿呆;)、連戦連勝のための奇抜なアイディアの宝庫…という期待をしてたのに、すごく真っ当なことが書かれていたいう印象は残ってました。
今読んだら、ガキだった頃よりも(笑)少しはちゃんと読み取れるかなぁなんて思ってみたり。

konさんのコメントを読むと、どの本もぜひ手にとって見なければ!と思うほど、興味がふつふつとわいてきます。その作品への愛情や受け取ったものの深さが、konさんの文章から感じ取れて、本好き心がくすぐられます~v
それにしても、「ブレーメン5」、もう30年近く前でしたか(驚愕)ああ、月日の流れるのって、早いものですねぇ。

いえいえ、こちらこそネタをいただいて感謝しています。みゆさんの回答がとても興味深くて、他の方のも読んでみたくなったので、なら自分で回してしまおうという(笑)

> 連戦連勝のための奇抜なアイディアの宝庫…という期待をしてたのに、すごく真っ当なことが書かれていた

そうそうそう、まさしくそうなんですよね!
一瞬拍子抜けして、しかしスルメのように噛めば噛むほど味わいというか奥行きが深くて。解説付きでもあんなに薄っぺらい本なのに。
本に限りませんが、初見とは感じ方が変わるコトってありますよね。昔は何とも思わなかったものに感銘したり、その逆もあったりして、面白いです。

未見の本も機会があったらお手にとってみてくださいね。みゆさんなら劇薬も大丈夫でしょうし(褒めてます)。というより是非とも“黒みゆ”に磨きをかけて欲しいところ(だから褒めてますってばっ/汗)
あ、新選組はドラマが先ねv(しつこくてゴメン^^)
「ブレーメン5」。そう、30年近く経つんですよ。私が読み始めたときはたしか3巻が出た頃でしたが…いやはや…。

えっ!?
わ、私がバトンなんていただいちゃっていいのでしょうか…(大汗)
みゆさんややっちさんのような読書家の方々に比べて、頭が悪いので難しい本は読めないですから…ホントにヘッポコな本しか読んでないですよ~;;
ど、どこに書こう…おろおろ(笑)

さすがkonさんですね、歴史系の本が多いのに頷かされました。
藤沢周平とか、短編を何度か読んだことはありますが、ちょっと切なくて上手いですよね。
「ブレーメン5」…うわぁ、懐かしい…
3巻くらいまで読んだ記憶がありますが、ラストまで追いかけてないんですよね。わりと好きな作者さんだったので、他作ではいろいろ読んだりしていましたわ…

いいんです! 是非受け取ってくださいまし(嬉)
や、私だって難しい本なんか読んでませんよ。「孫子」は古典といっても薄~い本ですし(しかも解説がないとワカラナイ;)、書簡集だって内容より見た目のレビューだし(爆)、あとは大衆小説と人生相談と漫画ですよ?(苦笑)
どこに書こうって…七雲さんサイトの雑記コーナーで構いませんとも。あ、ログが流れちゃうから管理人のページがいいかしらん――って人様のサイトになに口出してるんでしょうか私。楽しみで気が逸ってしまった(^^;

やっぱり歴史系が多くなっちゃいましたね。科学系も入れたかったんですが…まぁ「ブレ5」が科学系ってことで(笑)
藤沢周平、お読みになってたんですね。嬉しいな。長編もいいですよv
佐々木淳子もお好きでしたか。やっぱりみなさん趣味が合うなぁ♪ 他作というと「那由他」とか「ダークグリーン」とか?(古い?/笑) 短編もキレがありましたよねvv

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