またひとり逝ってしまった...

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大好きな作家の泡坂妻夫さんがお亡くなりになってしまった...。

奥様も驚かれたほど急逝だったようだけど、
「人を驚かすことが好きな主人だったので今ごろ笑っていると思います」
とのこと。
あぁ...ホントにきっとそうなんでしょうね。
さすが泡坂先生の奥様だなあ。

私が泡坂先生にハマったのは、かれこれ20年以上も前。
何がきっかけだったか、何を最初に読んだのかも思い出せないけど、すごく緻密なところと少々強引なところがユーモラスに味付けされていて、妙にツボに嵌ったのだった。
何よりご自身が楽しんで、そして読者を楽しませたくて書かれているんだろうなあと感じられた。

泡坂先生、楽しませてくれて、ありがとうございました。
未読の本もあるので、まだまだ楽しませていただきますね。
ご冥福をお祈りします。

改めて略歴を拝見して驚いたのだけど、泡坂先生が作家デビューされたのって、今の私とほぼ同い年のときだったとは...。
デビュー作は亜愛一郎の第一作目。こういう論理トリックがまた好きなんだ私。
亜愛一郎シリーズはもちろん、「11枚のとらんぷ」を初めて読んだときはおどろいたなあ。
あ、袋とじの仕掛本を出版されたこともあった。別にえっちな話じゃなくて(笑)、10数頁くらいずつ袋とじになっている状態でひとつの話、切り開くとまた別の話があらわれるという、一冊で二度美味しい文庫本。
今思えば二冊買って一冊は袋とじを切らないでとっておけばよかった。
「11枚のとらんぷ」もそうだけど、何かこう小説を立体的に楽しめるような、そういう貪欲な遊び心をお持ちの方でしたね。
私も見習いたいな...。

小説ではないけど「魔術館の一夜」(現代教養文庫)という手品(兼読み物)の本も好きな一冊。
手品自体も面白いけど、それよりトリックの原理に魅了された。「先生」と女性記者のやりとりがまた楽しくて、こういうの大好き。
本職(紋章上絵師)の本である「家紋の話」(新潮選書)も持ってますよ。これは学術書のような少々カタイ内容だけど、歴史・時代もの好きにはたいへん興味深い。
推理・時代小説の作家であり、奇術師であり、日本文化の職人であり...。
今更ながら、考えてみればみるほど、私の好みに合った方でした。

ところで、先生の作品で映像化されたものってたぶん少ないんじゃないかな。
ていうか難しいよね映像化は。トリッキーな作品は特に。

そういえばNHK時代劇で放映された「宝引の辰 捕者帳」は良かったな~。
小林薫さんの辰が粋でかっこよかったし、話も丁寧に描かれていて毎週楽しみに見てたっけ。録画が3話分くらいしか残ってなくて...CSでもいいから再放送してほしい!
谷原章介さんの亜愛一郎も見てみたいんだけどー。どこかつくってくれないかしらん。

それにしても...。
作家さんにしても俳優さんにしても、楽しませてくださった方々が段々亡くなってしまうのですね。
寂しいなあ。

やはり、生きているうちに、できることはしておかなくっちゃ。
自分自身にも、周囲の人たちに対しても。
ひとつも後悔しない人生なんて無理だけど、ひとつでもふたつでも減らすことくらいはできるだろうから。

...さて、何からはじめよう?

とりあえず朝寝坊を直すことからか...(笑)

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泡坂先生、お亡くなりになってしまったんですね(涙)。迂闊にも今まで知らなかったので、とても驚きました。
つい最近、「斜光」を読んだばかりなので尚のこと。
奥様のコメントにも泣けます(;;)
大好きな作家さんが、どんどんいなくなってしまって…仕方がないことですけど、本当に寂しいですよね。
訃報に接すると、しみじみともう二度と新しい作品に接することはないんだなぁと感じてしまって。

袋とじ作品、私も持ってました。ヨギ・ガンジーのシリーズでしたよね。あれは本気で衝撃でした。こんな手の込んだトリックを本そのものにしかけるというアイディアにも、それを完成させてしまう匠の技と遊び心にも。
私も今になってみれば、二冊買っておくべきだったなーと思います^^
亜愛一郎も、探偵事典で一番最初に名前が載るようにということで命名されたとか、ご自身のペンネームもご本名のアナグラムだったり、とにかくユーモアがあって、読者を楽しませてくれましたね。

また、konさんが仰ってるように、日本文化の職人さんで、しかも奇術師でもあった泡坂先生、トリッキーな作品だけでなく、幅広い作風・ジャンルで書かれていて…素晴らしい作家さんでしたよね。

なんだか書いてるうちにホントに寂しくなってきました(また涙)
こうなったら、是が非でも未読の『妖盗S79号』を手に入れて読もうと決めました!
そして泡坂先生を偲びたいです。
……谷原さんの愛一郎、私も見てみたいです(笑)

みゆさーん、コメントありがとうございます。
3日に亡くなられて昨日葬儀だったそうで、私もすごいショックでした。

袋とじ本。そうです、ヨギ・ガンジーの「しあわせの書」です。
やっぱりみゆさんもご覧になっていたんですね。あれを実現してしまうところが(しかも文庫本の価格で)、本当に凄いですよね!
あまりにも斬新な本だったせいか、乱丁に間違えられて返品が多かったらしいって話も聞きました。絶版になっていたかと思ってましたが、さっき密林を覗いてみたらあったのでポチッとしちゃいました(笑)。他にも一緒に未読の本を何冊か。届くのが楽しみです。
「妖盗S79号」は古本で何点か出品されてましたよ。私も買っちゃおうかな~。
泡坂先生の本って一時期絶版が多かったですよね。 古本屋を探し回った記憶があります。
だいぶ前に新装丁で再販(出版社は変わったかも)されたときは嬉しかったなあ。

とくに初期の作品は個性が強くて、メチャメチャ好きな人と苦手な人に別れる作風でしたね。そんなところが私は好きなんですけど。
大学生のとき面白いよーって友達に貸したら、私はあんまり…って返ってきたことがありましたっけ(苦笑)

こうしてお話しさせてもらって衝撃は薄らいできましたが…、やっぱり寂しいですね。
亡くなったと知って、改めてその方のことを思い出すわけですけど、ご存命中にもっと思い出したかったなあ。
良いニュースで誰かのことを思い出せるって、今の世の中なかなかないんですよね…。

愛一郎くんは映像化して欲しいなんて思わなかったけど、谷原さんを連想してからはものすごく見たくなってます。弱いような強いような、頼もしいような情けないような、一見普通に見えてやっぱり変な人…という難しいキャラクターですもんね。たいそう二枚目でいて、かつ三枚目も似合う人じゃないと!
谷原さんの「脳病の王子様」、実現しないかなあ(笑)

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