「あゝ新撰組」

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ずっと書きそびれていたネタをひとつ。
以前、母が聴くMDを作っていたことに触れました。テレビは目が痛くなるからと、いつも入院中の友は音楽なのです。昔はカセットテープだったけど今はMDになって随分と便利になりました。テープが返るときの音がしないし(大部屋だと夜など響いて迷惑だから)、曲の頭出しもできるし、最近は長時間録音が可能なので交換も少なくて済むしね。

とにかく今は「新選組!」漬けでドラマ録音ばかり聴いているけど(笑)、これまでの入院ではずっと美空ひばりさんの歌がベッドの友でした。今もドラマに集中できないようなときには聴いてるようです。
曲をカセットテープからMDに落とす作業をしてて私も聴いていたんですが、ふと、ひばりさんの歌が戦後日本を力づけたというのがわかる気がしました。彼女の歌声には明るいパワーがあるんです。癒し系でもなく、突っ走るのでもなく、包み込んで背中を押しながら力強く一緒に歩いてくれる――そんな感じ。まさに時代に乞われた歌姫だったのでしょうね。
で、手持ちのカセットテープの中からどれをMDに入れるか訊いていたところ、「これも」と指された見慣れないテープ。
それはこれまで1本も見かけなかった三橋美智也さんのものでした。そこに入っていた曲は...「あゝ新撰組」。これが聴きたくて新たに買っていたらしい(爆)
そういえば昨年末にスマステの新選組!最終回スペシャル放送で、壬生寺で香取くんが聴いていたっけ。あのときは香取くんの局長なりきりっぷりに感動したなぁと思い出しつつ、MDに落としながら聴いてみた。

......参りました。
これ、「新選組!」を観ていた人なら確実にやられます。

曲はいかにも昭和中期の短調な行進曲だけど、歌詞がムチャクチャいい! 香取くんが「この歌詞、今なら全部わかる」と感動してたの頷ける。
3番まであるうち、1番が京都、2番が鳥羽伏見、3番は敗走なんですよ。まず「組!」ファンなら1番の「武士という名に生命をかけて」でぐっときてしまう。そして鳥羽伏見では「ともに白刃を淋しくかざし」で、「変わる時勢に背中を向けて」敗走していくんですよ。。。(涙)

驚いたのは、この歌、昭和29年の発表だそうで、栗塚旭さんの「燃えよ剣」が映像化されるずっと前なんです。しかも当時は嵐寛寿郎さんの映画「鞍馬天狗」が人気を博していて、世間の認識で新選組はまだまだ悪役真っ直中の頃。なのにこんな詞を書ける方がいらっしゃったんですね。
そして詞に使われている、選ばれている言葉。
短い歌詞の中に難解な言葉はひとつもない。飾りもなく簡潔に淡々と表現されていて、たぶん、だからこそ胸に迫るのだけど。「菊の香りに葵が枯れる」なんて、洒落た言葉でこの上なく時代を表していてゾクッときました。巧いよなぁ...。
スマステでの香取くんは、「月に泣く」という歌詞に「月に泣いたよなぁ...」としみじみしてたんですよね。最後の「新撰組よ、どこへ行く」の件では、「どこへ行くのかはわからない。けど、(先に逝った仲間たちも)みんな同じところへ行くんですよ」と語っていたのがとても印象に残っています。
三橋美智也さんの歌声も、とても伸びやかで真っ直ぐなのがいいんですよね。「組!」ファンで未聴の方、騙されたと思ってぜひ聴いてみてください。

あー...、また「新選組!」のDVDが観たくなっちゃったな...。
(24時間TVの香取くんを眺めながらこれを書いている私/笑)

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