篤姫

薩摩藩の財政危機と調所広郷の改革については、十年ほど前に調べたことがある。
当時、恥ずかしながら幕末を舞台にした物語を書いていた。薩摩の話ではないが、功績を挙げながら認められずに汚名を被って死んでゆく、そういう武士の誇りとは何かを問う引き合いに調所を出したのだった。（主人公の父もそうだったという設定）
調所は武家出身ではない。才覚を見出されて茶坊主から家老に上りつめた人だ。蔑みに囲まれながら、主君のために汚れ役を引き受けた。その形振り構わない手段の凄まじさときたら、新選組同様に「本当の武士じゃないからそんなことが出来るのだ」などと言われるだろうが、彼が居なければ幕末の薩摩はなかった。あ、幕府にすれば居なきゃよかった人になるか？
そんなわけで、調所広郷にはちょっと思い入れがある。平幹二郎さんも素敵だったし、このドラマを機に評価されれば嬉しい。

ところで、篤姫も尚五郎も天保六年組（1835年生まれ）である。　※注：12月生まれの篤姫は太陽暦だと1836年
天保六年組は最初の黒船来航時（1853年）に満年齢で18歳、明治元年（1868年）に33歳。若いが、幕末維新史にはその前後の生まれが多い。
　天保4年：山南敬助、桂小五郎、佐々木只三郎、大鳥圭介、広沢真臣
　天保5年：近藤勇、橋本左内、河上彦斎、福沢諭吉、江藤新平、岩崎弥太郎、川路利良
　天保6年：土方歳三、坂本龍馬、松平容保、有栖川宮熾仁親王、井上馨、前島密
　天保7年：榎本武揚、山岡鉄舟
　天保8年：徳川慶喜、板垣退助、三条実美
なかなかそうそうたる顔ぶれではないだろうか。

しかし「篤姫」を見ていて感じるのは、やっぱり「新選組！」は凄かったんだなあってこと。
「篤姫」の第一回はかなり説明部分が多かった。仕方がない、幕末はとにかくフクザツなのだ。生まれる前から追っていったせいもあるけど。（でもこれは大河の王道）
それを考えると、ナレーションも入れず青年時代の黒船からスタートした「組！」の斬新さに、改めて頭が下がる思いだ。

その「新選組！」も、当初はまったく期待していなかった。
香取くんは、番宣でダンダラ隊服を着ていても全く近藤勇に見えなかった。贔屓目に見ても多摩のかっちゃんのコスプレみたいだった。
それが、あんなに素晴らしい勇に化けてくれた。
「篤姫」の番宣を見ていて、そんな香取くんを思い出した。宮崎あおいさんも今はまだ篤姫に見えないが、どれだけ化けてくれるだろうか。楽しみにしたい。

あ、そうそう。
木曜時代劇の「鞍馬天狗」も始まった。これも幕末ものだ。なんたって新選組が悪役だ（苦笑）
それはいいんだけど...なんつーか......、まぁ感想はもうちょっと見てからにしよ。
ただ、音楽を服部先生・時代考証を山村先生が担当していたのは、私も母も見逃さないのだった。ホント「組！」ファンってしょーもないなァ（笑）