「ルパン」の世界

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ルパンのことを考えるとき、貴方は「どんな彼ら」が頭に浮かびますか?

今回の書き出しは前回と似ていて微妙に違います。
「どの彼ら」と、「どんな彼ら」。
後者はそれぞれの好みや想像の部分を含めているつもりです。「ルパン」を深く語ったり、ファンアートに表そうとすれば、「どんな彼ら」が好きであるかが大きな要素になってきますよね。

オフィシャル作品を見ていても、実に多種多様なルパンたちが存在します。作風にしても、シリアスからスラップスティック、ギャグ話に至るまで、様々な「ルパンの世界」があります。メインキャラクターにしても、同一人物であることを疑いたくなる描かれ方のときもあったりして(^^;
オフィシャルにしてそうなのですから、一言で「ルパン」が好きと言っても、必ず話が噛み合うと限らないのは無理もないことでしょう。若いファンにはTVSPしか見ていなかったり、山田さんの吹き替えを知らない方々もいらっしゃるそうですし・・・。
更には、「ルパン」という作品の何に着目するかによっても、見方は大きく変わってきます。車や銃器類へのこだわり、奇抜なトリックやアイテムの数々、ストーリー展開、キャラクター描写、作画や演出・・・。私のように台詞回しやちょっとしたシーンでメロメロになってしまう者もおります(笑)
ファン心理は複雑で、どれほど一作品として素晴らしくても自分の好みに合わないこともあれば、てんで駄作といえる作品に忘れがたいものを感じることもあります。

人それぞれに、どんな「ルパンの世界」を抱いているか、あるいは好みであるかは違うでしょう。
互いの違いを尊重して楽しく語り合えさえすれば、自分とは別の考え方を知ったり新たな発見があるのは興味深く、いい刺激をいただくことも少なくありません。

こんなことを書いているのは、先日久々に旧シリーズを見直して、今更ながら気づいたことがあったからです。
それは、「ルパン」をアニメ化するにあたって作られた設定についてです。
当時の設定資料などを見ると、キャラクターの性格・位置づけ・小道具・世界観など、原作を踏まえながらとても凝って練り直されていて、ただただ脱帽するのみなのですが・・・、一方で原作において頻繁に出てくる設定がアニメには登場しませんよね。
ルパン帝国と、ネズミ一族。
アニメしか見ていなかった私は、昨年原作を読むまでこれらの存在を全く知りませんでした。ルパンと次元が幼なじみという逸話も含めて、これらを初めて知ったのはたしかみゆさんのサイト(Club Mercury)だったと思います。
そりゃもう、ひっくり返るほどビックリしましたとも!(笑)
しかし、ファンアート(二次創作)の世界では、特にルパン帝国は人気のある題材のようです。原作において曖昧な存在だけに想像を働かせやすく、多くの方のツボをくすぐる設定でもあるのでしょう。
実を言うと、私自身はちょっと苦手な設定であります。アニメで刷り込みされてるせいで、未だにピンと来ないのかもしれません。もっと具体的に言えば、組織に属しているルパンがピンと来ない。組織というしがらみを持つことは、私の中に刻まれているルパンというキャラクターに、似合わない。
私が好むルパンの魅力のひとつに、何ものにも縛られない自由気ままさがあります。ルパンだけでなく次元や五右衛門、不二子も同様。互いにさえ縛られることなく自由意志において、共に在り、場合によっては離れる。
それは組織人・銭形との対比をもなすポイントにも思えます。

原作の場合は設定も含めて各話の独立色が強く、矛盾も生じるけれど、全体がひとつの設定に引きずられないのは長所でもあります。が、これらがアニメに適用されていたらどうでしょうか?
アニメにおいても各話独自の設定は多いとはいえ、もしも「ルパン帝国vsネズミ一族」という図式が出来てしまったら、組織対組織の闘いになってしまいます。そうなれば、「ルパン三世」というアニメ作品自体、全く違った作風や展開になっていた可能性もあります。飄々とした暢気な明るさは薄れ、どこか陰惨さや悲壮感がイメージされてしまうような・・・。
それはそれで興味が無くはないけれど、これほど広く長く愛される作品にはならなかったかもしれない。少なくとも、今の私が大好きなルパンの世界は存在しなかった気がします。
結局、アニメにおいては「ルパン一味vs銭形警部」の図式のみが貫かれ、それ以外に全体を通じてルパンに対抗(または協力)する存在は作られませんでした。これはスゴイことではないでしょうか? なぜなら、毎回ルパンを手こずらせる強敵を作り出すより、常に敵となる組織が存在した方が、作り手としては断然ラクだからです。
実際、 敵のレベルが落ちる回は、ルパンたちもレベルダウンを免れないデメリットは生じました。しかし、ルパンたちは(銭形警部も含め)、あくまで一個人としての存在を保てたように思います。
当時のアニメスタッフは、そこまで考えて設定を取捨選択したのでしょうか。旧シリーズの初期には、ルパン帝国?と思わせる組織の存在を感じる部分もありますが・・・。あるいは、アニメで表現したいルパンの世界に合わなかったために敢えて描かなかったのか、それとも自然消滅したのでしょうか。
いずれにしても、個人的には感謝したい気持ちです。

私にとっての「ルパンの世界」はと言うと、アニメ(の中でもTVシリーズ)で表現されている世界そのものです。
オフィシャルであれ二次創作であれ、メインキャラが登場していても、その個性や位置関係、設定が違っているなら、私の抱く「ルパンの世界」とは別世界になってしまいます。新ルの最終回に違和感を覚えるのも、私の中にある「ルパンの世界」とズレているためだと思います。ギャグやパラレルもののように、敢えてそういったズレや違いをネタに楽しむ作品は別ですけども。
これはあくまで私自身の好みによるもので、もちろん善し悪しの問題ではありません。
それに、自分が書き手の立場で二次創作をする場合、必ずしも自分にとっての「ルパンの世界」を描けているかというと・・・これはまた「力不足」という大きな壁が立ちはだかることになります。ただ、気持ちとしては、アニメのルパンの世界をベースに書いております。(これに関して語ると長くなるので、「二次創作作家さんに100の質問」に答えてみました)

ネットの大海を漂流すると、オフィシャル以上に多種多様な「ルパンの世界」に出遭います。
「ルパン」が好き!――この1点では共通していても好みは千差万別。「どんな彼ら」を表現したいかとなれば、更に人それぞれです。アニメや原作に近い世界を楽しみたくて創作する人、独自の世界を発展させた創作に楽しさを見出す人・・・どちらも二次創作の醍醐味なのでしょう。
基本的に出不精の私ですが、たまに各サイトさまの注意書きやリンクの案内文を頼りに彷徨ってみます。が、共通の判断基準など存在しませんから、「遊泳要注意」と看板を立ててくださっていても割と安全だったり(心構えが出来たお陰でもある)、さほど危険な標識が見られないところで荒波を被ったり足がつってしまうこともしばしば。多くの方々が楽しそうに遊んでいるのに、何故かサメにかぶりつかれたり、奔流に巻き込まれて方向を見失うこともあるので用心が必要です。
かと思えば、逆に好みのドツボに嵌りすぎて溺れかけることもあります。これは死にそうになるほど快感も大きいのが困りもので、キケンを承知で遊びに行かずにはいられません。それどころか、わざわざ危険区域に居候させて貰ってるくらいですし(^^;
危険と隣り合わせのスリルと快感、さすがは「ルパンの世界」というべきか?(笑)

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