ルパン三世データ分析‐酒データ: 2ndシリーズ(新ル)編 61~90話

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「2ndシリーズ(新ル)編」の第三弾です。(データ協力深謝:みゆさん、池本剛さん)
まずはリストと集計結果から。 >>定義・判断基準
いつも通り、以下はデータをご覧いただいたことを前提に話を進めます。
いやぁ~今回はいつにも増して「濃い」酒シーン満載です!

酒の登場率は7割近くと前回に比べ上がっています。1話平均のシーン数はほぼ1回...と変わらないので、さほどムラなく呑んでいるようです。
酒の種類はウィスキーが増えてトップの10回。次いでシャンパンとブランデーが6回。あとは赤ワイン(4)・白ワイン(3)・カクテル(3)・ビール(2)・日本酒(1)...あらら、なんだか傾向が変わりましたね。赤ワインがブランデーに、白ワインがシャンパンに移ったかな。そして今回は詳細が判ったものも多く、台詞からカクテル「敗北者」と「愚か者」、ボトルからI.W.ハーパー101プルーフ(バーボン)・マーテル(コニャック)・ボルドーワイン辛口・ロマネコンティ(ブルゴーニュワイン)・カミュのナポレオン(コニャック)・キャンティ(イタリアワイン)...とかなりの収穫♪
飲み方もいつもより多く判別でき、グラスも今までワイングラスが圧倒多数だったのが、ブランデーグラスやロックグラスが増えています。今回、全体的に丁寧に描かれている酒シーンが多いようで嬉しいです。
ボトルの登場率は7割強ながら形が偏らなくなってきたし、ラベルの割合も今回高く、判読できないまでも細かい描写がよく見られます。64話や71話など酒棚にあるボトルも丁寧です。
備品は前回ゼロだったアイスペールが復活。こういうちょっとした小物も描かれていると嬉しいんですよね。

さて、恒例となった薬入り酒シーンは今回もありました。
まずはいきなりトップの61話、仕掛人はやっぱり不二子。狙いは斬鉄剣で、差し入れのバーボンに仕込み3人を眠らせた隙に持ち去ってしまいます(酷っ)
もうひとつは66話。実は「酒」とも「薬入り」とも明確にされていませんが、台詞と状況からルパンが相棒たちの酒に仕込んだと推測しました。そうでもなければこの二人が簡単に酔いつぶれて寝てしまうとは考えられません。ましてやルパンが狙われていることに最も危機感を抱いていたのは次元だし。
...あら?次元と五右衛門は両方とも被害者ですか。お気の毒様です~(^^;

では、キャラクター毎に見ていきましょう。
お、今回は次元がルパンを超えましたね。相変わらずウィスキー中心ながら、種類も赤・白ワインに加えてシャンパン・ブランデー・ビールといろいろ。しかし場所の多くがアジトやホテルなのは今までと同様で、やっぱり必ずルパンが居るところで呑んでます。別に単独行動するようになったのではないんですね。79話で五右衛門に襲われながらグラス片手に反撃するところなど、彼らしくてニヤリとするシーンです。
そして僅差で2位に転落(?)したルパン。とりわけ呑む回数が減ったのでもなく、単に相棒ほど呑んだくれていないだけみたいです(笑)。ただ"お相手"が前回の華々しさと比べて、今回は68話のニーナのみ。しかし68話は、シャンパンに絡めた会話やカクテルの名前を使った応酬など、酒シーン好きとしてなかなか美味しい見所が満載! 他にも62話と71話でそれぞれ物思いに耽っての一人酒も、地味だけど好きなシーンです。
3位の不二子は今回シャンパンが多いです。4人での乾杯(64話)を除き、お相手はルパン(63話)・ブレナン長官(76話)・クロード王子(81話)というラインナップ。ルパンとブレナンにはしたたかに(「あたしの美貌をもってすれば長官のひとりやふたり」って...スゲエ!)、王子様にはオンナノコの一面を披露(「弱いのよねあたしってこういう男に...」)...と、相手によって多様な顔を見せてくれます。また、82話のアジトでは、皆が居るのに一人だけブランデーを手にするなんて珍しいシーンも。
4位の五右衛門は全てが付き合い酒。61話など義理堅く仲間への配慮(「皆がそれほどにまで言うのなら。不二子殿がせっかく持ってきたんだし」)を見せる大人な面と、美味しいからとお代わりをねだる可愛い面とが同居して、一層その後が哀れです...。
5位の銭形は、今回2度の酒シーンがあります。ひとつは朝の迎え酒(69話)。つまり前日も酒が入ったわけで、何を呑んだんだろう? もうひとつは真っ昼間の職場でジャスミン局長と(85話)。「職務中にシャンパンなど」と上司をたしなめる銭形が好感持てます。結局呑んじゃってますけどね~。しかしジャスミン局長、美人で可愛いのになんでモテないんだろ?(←結構好きv)

同席メンバーに着目しましょう。4人揃いの酒シーンは乾杯(64・66話)と食事(74話)の3回。ルパン・次元・五右衛門が61話の1回、ルパン・次元・不二子も71話の1回のみ。後者は五右衛門もその場にいますがテーブルについていません。
そして、ルパン・次元の組合せがついにルパン・不二子に差をつけました!(こんな盛り上がり方ってどうなのか...;)。しかもかなりツボなシーンが多いです♪ 64話のバー・80話の財布担当次元(笑)・87話のポーカーなど、二人のやり取りと合わせて相棒スキーとしてはつい頬が緩んでしまいますよ。
ルパン・不二子は63話のデート(?)と88話のプールサイド。後者は甘い雰囲気でもないですが、ぐうたらルパンに活を入れる不二子がイイ感じです。
更にもう一組、次元・五右衛門のコンビが2回あります。まずは64話、ルパンが光線銃を調整する間、ルームバーで仲良く酒を傾けてます。高級ホテルのスイートだけあって酒の種類も揃っているようですが...日本酒(しかも徳利)も備え付け? ルームサービスなのかな。まさか五右衛門の自前ってことは...。66話では酒が映りませんが、前述のように二人ともルパンに勧められて呑んだと考えます。

必然性ですが、こちらも今回凄いです。これまで4割がせいぜいだったのが、なんと6割近いシーンに必然性を感じました。主観的な項目ですけど、全体になかなかイイ使われ方をしているのではないでしょうか。ストーリーに直接絡むことはないものの、絵的にも場面や台詞を取っても、分析対象として大変満足です。
そうそう、今回最多の酒シーンを誇ったのが64話。実に6シーン! 間違いなくTVシリーズを通して最多です。クリスマスという状況や(そういえばワインを盗んだ12話「大統領の贈り物」もクリスマスでした)、ルパンと次元がリゾート気分であることも酒の登場に拍車をかけたのでしょう。酒シーン特別賞を進呈したい話ですわ。

ベストシーンは、その64話を代表してラストの乾杯シーンを選びます。なんだかいいクリスマス気分を味わえて好きなんですよ。ジャンボジェットのチャーターといい飾り付けられた自由の女神といい、豪勢で洒落た雰囲気にも満ちていますしね。
ベストスリーを選ぶと、2番目は68話でルパンがニーナにシャンパンをかけられたシーン。ルパンの対応がちょっとキザだけど痺れます。その後ニーナとの食事で「ボーイフレンドをつくるときはシャンパンを掛けろって教えられたのか?」という台詞も繋がってて、ホントこういうの好きですわ。
3番目は...う~ん悩むなぁ。今回地味に好きなシーンが多すぎるんですよ。むむ...でもやっぱり61話の薬入りバーボンの印象が強いからな。結果はともかく呑んでる間はみんな楽しそうだし(^^;
とにかく今回はルパン・次元やルパン単独でもツボなシーンが多く、銭形の洋行にロマネ・コンティでの祝杯とか、不二子がブレナンを相手にするところもなかなかカッコ良くて好きなので、むちゃくちゃ迷いました。嬉しい悲鳴と言うべきですかね。

あ...っと、ひとつ特記しておきたいことが。
80話でシルバーをアジトに迎え入れての酒シーンにおいて、アジトの酒棚が映るんですよ。とても意外ですが、新ルも半ばを過ぎての「初登場」です(ワイン室は45話で映ってたけど)。惜しむらくはキャビネットの中身がよく見えないこと。この回全般にボトルやグラスも描写が適当で、丁寧な回も多いだけにホント残念です。一体どんな酒が並んでいるのか知りたかったなあ。

以上、「新ル編 61~90話」でした。
次回は「新ル編 91~120話」をお届けします。どんな注目ポイントがあるか、お楽しみに~。

コメント(10)

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更新、待ち構えておりました(笑)
細かくラベルが描かれていて嬉しいのは勿論なのですが、それでも見難いものも多いのに、きっちり見極めて銘柄特定しちゃうkonさんに乾杯ですv

61~90話編、仰る通り地味にいい味出してるシーンが多いですよね。その分、酒シーン好きにはたまらなく美味しさがあったりするんですがv
私、ルパンが一人物思いにふけって酒を飲んでるシーンに目がないもので、71話がやけに好きだったりします。これも地味なんですけどね(笑)
そして64話、この回は豪華ですよね。以前konさんに気づかせていただくまで、結構スルーしちゃってたんですけど、酒シーンの多さといい、酒種類の豊富さといい、ホントに楽しいv
バカンスだとやっぱりいつも以上に酒を飲むみたいで、そんなところもイイ感じですよね。私も、ラストの乾杯がとても好きです。
また、68話のルパンとニーナの洒落た会話、素敵ですよね。子供の頃はひたすらニーナに嫉妬してたので気づきませんでしたが(爆)、浦沢さんの洋画のようなお洒落な台詞、ここでもしっかり効いてるなーと改めて思いました。

酒シーンと関係なくて恐縮ですが、ジャスミン局長。私も大好きでして^^
モテない理由を推測すると、まずものすごーく有能そう(実際有能)なところに、自分に自信のない男は尻込みしちゃうのでは、。
そして、彼女の結構可愛い面を知るくらいに親しくなった男性は、「結婚したいv」という押しの強さに驚いて去っていくパターンなんじゃないかと、勝手に妄想してます(笑)

> ジャスミン局長、美人で可愛いのになんでモテないんだろ?
知性があるからでしょう…と言おうとしたら、既にみゆさんに先回りされてました。おろ。

> ベストシーン
僕は61~90話中だったら69話における銭形の缶ビール迎え酒シーンがベストです。銭形の私生活部分が垣間見える感じでお得気分。ボソボソ独り言を言ってる銭形が乙。

> この回全般にボトルやグラスも描写が適当
横山広美作画回ですかんね。新ルって作画と美術とがほぼ連動してて、作画がヘボい回は美術も投げ遣りだという。

>みゆさん
銘柄探しはかなりの執念をもってやってます(笑)。喜んでいただけてホント嬉しい。
ここまでいろいろ判ると、今度ご一緒するときは彼らが呑んでた酒を用意したいですね。とはいえロマネコンティのような超高級酒は無理だし、I.W.ハーパーは手頃だけどProofは生産終了と(もうちょい早く気づけばよかった…)、いくらか限られてしまいますが。できればシャトー・タルボが呑んでみたいけど、みゆさんもやっちさんも赤ワインは苦手でしたっけ。私も赤はあんまり呑めませんが、でも3人で1本くらいなら空けられそう?←白は1人1本+αいきましたもんね(^^)

そうそう、“地味にいい味”ってのが堪えられませんよね! 作為的じゃなく、「えっこんなところで呑んでた?」みたいなさりげなさの中に素敵な酒シーンが埋もれていて(しかも案外凝っていたりして)実に美味ですわ~v
71話の一人酒ルパンもイイですよね。グラスに万札を入れて立ち去るのも、考え事に浸っての自然な仕草でカッコイイんだよなあ。
64話の呑んだくれぶりときたらもう(笑)。4人がそれぞれに酒を楽しんでる様子がたまりません。酒シーンに注目してからというもの断然好きな回になっちゃいました。
68話の台詞や場面に絡めた酒の使い方、大好きですね。子供の頃のみゆさんは、私も早くルパンとシャンパンが飲めるようになりたいっ…って思ったのでは?

ジャスミン局長、やっぱ局長まで出世するくらいだから有能かつ仕事熱心なんでしょうね。向ける方向は違えど、どっちにしろ「押しの強い女性」ということで男性はもてあましちゃうのかなあ。勿体ない。私がヨメに迎えたいくらいですよ(笑)

>池本さん
ははあ…知性がある女性はモテませんかね(笑)
実際に池本さんが迫られたらどうですか?…ってのはまぁ置いとくとして、ゲスト屋としての見解はいかがっすかね?(^^)

69話の銭形迎え酒シーン、これも地味だけど美味しいですね。飲み過ぎたと言いつつ迎え酒をする程度には充分酒に強いこともわかるし、そういう無茶な日常生活っぷりも表れてて。
酒シーンでの独り言といえば12話の朝食(ワイン)もありましたが、こちらは話のテーマ(ワインを盗む)と連動してたから、今回の方がより私生活の雰囲気が出てますね。まだ着替えていない様子も併せて(帽子だけはかぶってるけど^^)、滅多に見れない勤務中以外の銭形が拝めるのが貴重ですよね。

> 作画がヘボい回は美術も投げ遣り
確かに美術面だけが綺麗というのも違和感あるでしょうけどねえ(苦笑)。そういえば71話の方は作画が良いって仰ってたから美術も良かったのかな。こういった裏事情(?)を教えていただけるとまた一層面白いです。

ゲスト屋としてはジャスミン局長はいいゲストだと思いますよ。
つーか、そもそも個人的な趣味としても知性のある女性は好きです。僕だったらあの知性もアグレッシブさも敬遠の理由になるどころか、むしろ歓迎する部分なんですが…これはかなりの少数意見だろうと思います。
世の多くの男性はやはり知的な女性を敬遠するようですよね。何だかなぁ…。

シャトー・タルボ、ご一緒したいです!
私は赤でも平気ですよv 白よりは飲めませんが←そんなに飲む必要なし(笑)
ルパンたちが飲んでいたと思うと、それだけで美味しいと感じそうですね^^

前回書き忘れたんですが、財布担当の次元(笑)
新ルではかなり定着してますよね。この後にも会計任されるシーンが出てきたり、ルパンは次元宛にコレクトコールで電話してたり。
ルパン一味の会計は次元なんですかねぇ(かなりざっくりした会計になりそうだ^^)
一番酒に強いから、次元が支払う習慣がついたのかな?等、あまり根拠もないのに妄想ばかりが広がりますv

> 財布担当の次元
僕は何か凄ェーよく判る感じです。金勘定に細かいイメージは確かに無くて、丼勘定であろうって感じがするんですが、それでも『生活力』つーのか『常識力』つーのか、世間に一番近いのってやっぱり次元だろうと思うので。ルパンと五右ェ門て浮世離れしすぎですよね。そうした意味では世間ズレしてる次元が適任。
かつて押井守が「僕はコインランドリーに洗濯物放りこんで、帰りにコンビニでおにぎり買ってくるような次元を考えてたんです。ルパンはゴロゴロしてるだけで、何もしない。そういうサポートする男って基本的に好きなんですよ」てな事を言っていて…流石にそこまでの生活臭がすると「ちょっとなぁ」と思わなくはない(やりようによっては面白そうではある)んですが、そういった次元の要領の良さみたいなのに関しては「判る判る」って感じです。

> ジャスミン局長>>池本さん
おぉ~個人的な観点からもお好きですか!
知的な女性が敬遠される理由は、男性が楽になれないからでしょう。やはり優位に立てないと落ち着かない男性が多いですからねえ。
池本さんのように知的好奇心が旺盛で、そんな拘りがない方ならいいのでしょうが(^^)

> シャトー・タルボ>>みゆさん
赤ワイン大丈夫ですか。それじゃあ手頃そうなのを探してみますよ。これは呑んでみたいですよね! お会いする楽しみがまたひとつ増えました♪
どっぷりルパンな気分に浸りつつ酒盛りいたしましょう!
(と言いつつ「組!」のお話も沢山したいんですけどね~^^;)

> 財布担当の次元(笑)>>お二方
そうそう、他にも次元が支払うシーンがあったし、ルパンのコレクトコールもありましたね!
一番酒に強いから…ってみゆさんの想像にも、その状況が頭に浮かんで笑っちゃいました。
確かにだいぶテキトーな会計になりそうですが、まぁ確定申告の必要があるでなし(つい先日面倒な計算を済ませた私^^)、大まかな収支がわかればいいんでしょう。
お二方の仰るように、結局“消去法”で次元になっちゃうんでしょうね。会計ってただ算数ができりゃいいってもんじゃないから(実感)、それこそ“世間ズレ”ってのがモノを言うんだなあ。
そういえばときどき「金にならない仕事はごめんだ」とか「準備に金を掛けたのに元が取れない」みたいな発言もしてますよね。やっぱり頭の中で経費の計算とかしてるのかしら(笑)
しかしルパン一味の財布を次元が握ってるとなると、不二子への態度が厳しいのも別の意味で頷けますな(大笑)

とはいえ押井氏の発言まで行っちゃうと微妙ですが…。それが日常生活だったら流石にイヤだ。
でも、ルパン(や五右衛門)が生活面に疎くて、次元がそんな彼らの世話を焼くポジションというのはわかりますね。必要な状況であればコインランドリーだろうがコンビニだろうが(ぶつくさ言いつつも)自然に使いそう。『復讐はルパンに~』や『インベーダー金庫』の回想にあったように、次元は苦労人というか庶民の生活を体験してるし、一方で傭兵経験があったりと、どんなところでもサバイバル向きだとは思います。
だけど…、旧ル酒データのコメントでもお話させてもらいましたが、どこまで“生活描写”をするかってのは、匙加減と表現が難しいところですね~(^^;

話が明後日の方向に行ってしまいますが、幻の押井ルパンについて更に突っ込むなら…

確かに僕も、ルパン達があまりにもしみったれた生活をしてるような、現実的で地に足がついたような描写ってのは抵抗があるんですが、それでも、それによって何を表現しようとしてたのか?を考えると「エキサイティング!」と身震いするんです。
現実に、現在に、時代にルパンを斬り込ませようとしてたのが押井ルパンだったわけですが、そのための『現実感を伴った生活描写』の線を狙ってたんだろうな、と。勿論、そもそも押井守という作家が、そういったチマチマした生活描写が好きだという事はあるにせよ、それと同時に、現実現在の中にルパン達を放り込むという仕掛けは実に面白い企みだと思うんです。

「さらば愛しきルパンよ」で宮崎駿が、原作や旧ルのような無国籍世界でもなく、新ルのような観光パンフレット的世界でもなく、現実現在の新宿を舞台に据える、という実験をやってますが、押井がやろうとしていたのは恐らくあれの発展形でしょう。「ルパン」が事件であるためには、時代とのズレを黙殺するのではなく、敢えて現在を生きるルパン達を描く必要があったんだろう、と。夢のような冒険活劇「カリオストロの城」の後を受けるのであれば尚更そういった具合に、違った角度からのアプローチが必要だったという事もあるでしょうし、あるいは、既に手垢がついていた「ルパン」を再生する方法として『現在』というのは素通り出来ない要素だったんだろうと思います。

そうした意味で実に野心的な作品だったと思いますし、もしか実現していれば、その後の「ルパン」の失速は、あるいは無かったんじゃないか?とも思います。似たような構図はその後、「バイリバ」だとか「炎の記憶」だとか、あの辺で部分的に試みられてはいましたが、お世辞にも上手くいっているとは言えない出来だったのが実にどうも…。

「幻の押井ルパン」については、そういう企画があったらしい…としか知らないので何とも言えませんが、コメントを拝見する限りでは、あまり高級酒は登場しなさそうな雰囲気ですね(笑)

ルパン達と現代との接点というテーマについては、私も興味深いと思います。現在を舞台にしつつ、現在という状況や価値観に“振り回される”ことのないルパン達を見てみたい気持ちは大いにあります。ただまぁどんな描写がなされるかと思うと、諸手を挙げて見てみたいっ…とも言い切れず、戦々恐々といったところかなあ(^^;
というのもご指摘の通り、これまで散見された“試み”がどれも上手くいってないせいもあります。結果的に上手くいかなかったというより、根本的なアプローチの仕方がどうも好みじゃないです。身近な存在にしようとの意図かもしれないけど、単に生活レベルを落としているだけに見えて。むろん庶民的な一面があってもいいんですが、それだけじゃなかろうと。別にセレブにしろと言うのじゃなくて、何て言えばいいのかな。彼らをそんな枠に嵌めなくていいんじゃないの?と思うんです。(うまく言葉にできない…;)

> 違った角度からのアプローチが必要だった
確かに、人気作品を煎じ直した出涸らしから脱却するには、まったく違ったアプローチが必要ですよね。そのひとつとして従来作品とのズレが大きくなっている『現在』を取り入れる試みは当然という気もします。それは私にもわかるような。

でも結局のところは、どんな時代や場所を舞台にしようと、作り手が抱く「ルパン世界」がどんなものか、ルパンに何を求めているかに依るんだろうとも思います。すでに証明されてしまってるように、旧ルや新ルの土台を使ってみたところで、旧ルや新ルが作れるわけじゃないし。(と、言葉にすると当然すぎて笑っちゃいますが^^)
舞台背景や生活描写は、その奧にどんなルパン世界があるのかを表現する手段であり、おそらく池本さんの仰る「幻の押井ルパン」はその意味で一石を投じるものだったのでしょうね。

あ、『現在』とルパンといえば…もうひとつ気になるのがコンピュータ(IT系)ですね。時代背景として最も進化した部分であり、それこそ“素通り出来ない要素”のひとつですが、これもTVSP以降上手く使えた試しがないようで。「1$~」など描きようによっては面白そうだったけど話がズレちゃったし、「Y」のような使われ方も違和感あるし、といってケータイもパソコンも持たないってのは行き過ぎかと…。
どんな道具であろうとルパンは使うだろうし過信もしない、それだけのことだと思うんですけどね。

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