ルパン三世データ分析‐酒データ: 3rdシリーズ(PartIII)編 26~50話

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今回は「3rdシリーズ(PartIII)」の後半です。(データ協力深謝:みゆさん、池本剛さん)
長らくお付き合いいただいた酒データ分析もついに最後となりました。
まずはリストと集計結果から。 >>定義・判断基準
いつも通り、以下はデータをご覧いただいたことを前提に話を進めます。

酒の登場率は7割近く。1話平均のシーン数は1.2回。これは新ル初期に近い多さですよ。いやはやよく呑んでるモンです。
酒の種類は、赤ワイン・ウィスキー・ブランデーが並んでトップの7回。次いでシャンパン・カクテルが各4回。白ワイン・スピリッツが各1回です。ビールと日本酒はありませんでした。詳細がわかったのは、ブリュット(シャンパンの超辛口ランク)・J&B(スコッチ)・レミーマルタン(コニャック)。そうそう、カクテル「リベンジ」もありましたね。凄いのは39話・銭形の自棄酒シーン。トライアングル(サッポロの焼酎)・アーリータイムス(バーボン)・バランタインファイネスト(スコッチ)・ジェムソン(アイリッシュウィスキー)とおぼしきボトルが見えます。細かい! 他にも前回同様、細かく描かれているのに銘柄が判明しなかったボトルもあり、惜しいのは27話で次元が手にしていたブランデー。特徴ある形なのにわかりませんでした。
飲み方のわかるケースも多いです。対象となる洋酒15回の内10回が判明(ストレート6回、ロック4回)。
ボトルはボルドー型とブルゴーニュ型が同数の9回。他3種が計4回です。シャンパンもそうですが、洋酒もモデルに忠実に描かれているせいか、新ルに時折見られたような間違いがないですね(^^;
備品もワインクーラー・アイスペール・ストローが描かれています。31話に何か小さくてわからないものが見えるんだけど何だろうコレ?

薬入りの酒は今回もありました。37話でここでも不二子です。相手はルパンたちではなく、ゲストキャラのアン。ただし残念ながら返り討ちに遭ってしまいました。本人も自覚している通り、敵を甘く見たのが敗因でしょうね。ガンバレ不二子!...あれ、いいのか??
そしてカウントはしませんでしたが、もうひとつ。可能性として34話のシャンパンを挙げておきます。何といっても盗みが成功した直後の不二子からの差し入れ。結局呑まれなかったので真偽の程は判りませんが...危ない危ない。

キャラクターに注目してみます。
今回の首位は...おおっと、不二子の14回です!最後の最後に初トップに立ちましたか。前半と打って変わって各種の酒を呑んでます。これも単独行動の多さゆえで、27話のKGB・29話の大統領誕生パーティ・31話のゲラン(3)・37話のアン・39話のウォーレス・46話のバラクーダ(2)・50話のMI6とCIA...と、いやはやお相手も多彩なこと。しかし。これだけの活躍(暗躍?)にもかかわらず、いまひとつ冴えない気がするんですよ。薬で返り討ちに遭ったように、一本取られるケースが多いんですね。丁々発止やり合っての競り負けならともかく、29話・39話・46話あたりは...なんだかなぁ...。負けるな不二子!...アレ?いいのか??
2番手は定位置の次元で10回。洋酒党に戻ったものの、ブランデーが半数ですね。そして特筆すべきは、彼に新ル26話以来となる酒シーンのお相手が登場。27話のバーバラと41話のアニタです。おや両方とも金子脚本だわ。とはいえ一緒に呑んでいないなら新ル129話のサンドラがいますけど。あ...これも金子脚本だわ...。単独では、29話・グルリット博士の城で一人酒が2回、35話はアジトで新聞記事を見るシーンがあります。
3番手でようやくルパン登場。しかし5回しか呑んでませんよ。不二子のたった1/3じゃないですか。種類は多様で赤ワイン・シャンパン・ウィスキー・ブランデー・カクテルを器用に1回ずつ。単独のシーンでは29話・グルリット博士の独房と、50話・イワノフ上のリゾート風カットのみ。いやパースリ後半は意外な結果になりましたねえ。
4番手は銭形の3回。32話と39話は自棄酒です。50話は...これ入れていいものか迷ったんですが、状況に流されてる風だったので一応カウント。不二子との組合せも珍しいので。32話は道化的な役回りで...何というかコメントしづらいですね~。自棄の原因であるルパンの行動が不可解なんで仕方がないとも言えるけど。39話の方は大いに納得の自棄酒。こういうのが宮仕えの辛いトコで、呑まなきゃやってられねぇよなあ~とっつあん...と肩を叩きたくなりますわ。にしても一体何本空けてるのかって勢いです。銘柄は前述しましたが、どれも庶民的なラインナップなんですよね。ジェムソン以外は私も自腹で呑んだものばかりで(だから一見して判ったわけですが)、こういうの見ると一層銭形に親近感が湧いちゃいます。しかしこんなに呑んでは路上で寝ちゃうのもムリないっつーか、命を狙われなくてもフツーに危険ですよ(^^;
そして五右衛門は飲酒ゼロ。見事に旧ル時代に戻ってますね。彼のキャラはそれでいいのかもしれないけど、個人的にはパースリ五右衛門の飲酒シーン見てみたかったな。

同席メンバーは、ルパン・次元・不二子が45話の1回。揃ってドロンの召使いに扮しての逆転シーンです。そういえばこの話、タイトルにも"乾杯"が入ってますね。
そしてルパン・次元が2回。39話・アジトでニュースを見ているシーンは、それぞれ別のボトルを側に置いて。40話・ルパンがお尻の手当をされてるアジトでの酒はレミーマルタン。やはり銭形とは呑む酒の格が違います。次元・不二子は50話・島での食事シーンで、酒なしのルパンと五右衛門も同席です。不二子・銭形は前述のやはり50話・CIAに連れられたディスコのシーンです。
それにしても...ホントに一緒に酒を呑む場面が少ないなあ。五右衛門が呑んでないせいもあるけど、今回はルパン・不二子もナシ。全ての組合せを足してもたった4回で、これは旧ルの6回より少ない。パースリ好きだけど、これだけはちょっと寂しいっす。

さて、必然性は何といっても30話。タイトルにも酒(カクテル)が入っています。メインキャラの飲酒は全くないものの、パブを舞台にした絶妙な"芝居"とバーテンダー・ルパンの"名演技"に痺れまくり。表舞台が跳ねた後の詰めも抜かりなく、酒にちなんだ台詞もてんこ盛り。そしてカクテル「リベンジ」、忘れがたいですね。
他に印象的といえば27話の次元。こちらもかなり芝居がかってますが、白薔薇とブランデーを手に昔の女と再会という...次元にしかできないシチュエーションでしょう。

というわけで、ベストシーンはやっぱり30話。呑んでないけど、酒シーンとして不足はありますまい。これを置いて他を選ぶことはできませんわ。
ベストスリーの2番目、こちらはやはり27話・次元とバーバラの再会にします。どうしてもインパクト強いんだよなあ。同じ次元なら41話のアニタとのさりげなさも好きなんですけどね。
3番目は、39話の銭形自棄酒シーンを。これは場面展開にも絡んでるし理由にも納得できるし、銭形の酒シーンとしては一番好きかな。もちろん細かく描かれたボトル群にも敬意を表して。

以上、「PartIII編 26~50話」でした。

そして今回で酒データ連載も終了となります。
あれこれ突っ込みたかったので30話区切りにしたのですが、やはり3カ月以上となると...ちょっと長かったですかね~(笑)
とはいえこれまで部分的に見てきたので、オマケとして(間に合えば)10日後に総論をまとめる予定です。まだ語り足りないのかと呆れられそうですけども、よろしければ覗いてやってくださいまし。

コメント(4)

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> カクテル「リベンジ」
あれ疑問なのは…バーテンダー・ルパンが手にしてるボトルに「Revenge」とあるじゃないですか。カクテルの名だった筈が、あのボトルの銘柄になってしまってるのは何なんだ?と思っちゃうんですよ。野暮な突っ込みではありますが。

> 一本取られるケースが多い
PARTIIIってとにかく、新ルパンで確立された『お約束』を外して外して…ってのをかなり意欲的に色々とやったと思うんですが、そんな中で『裏切った不二子が更に裏切られる』『出し抜いた不二子が更に出し抜かれる』に関しては「あまりにも多発されてしまったなぁ」という感はありますよね。そもそもはパターン崩しだった筈が、そのパターン崩しそのものがまたパターンになってしまったようで。

長期間に渡っての濃密なデータ分析お疲れさまでした。堪能しました。総論も楽しみに待ってます。

「カクテルの名は復讐(リベンジ)」は酒の使い方は効果的だし、洒落た台詞が多くて、洗練された1作ですよね。もちろん大好きなんですが、やっぱりルパンたちが少しでも酒を飲んでいてくれたら…と、ちょっとだけ残念です^^
39話の銭形、漠然と「チャンポンしてるんだろうな」と思ってましたが、見事に酒の種類が違ってたんですね!自棄酒だけあって、気分的には「ナンでもいいから酒持ってこーい」だったんでしょうか(笑)
ルパンたちと、銭形の飲んでる酒の格が違ってるのも、芸が細かいですね。こうしたちょっとしたポイントが、ファンとしては嬉しいv

酒データ分析、お疲れ様でした!充実したデータとkonさんの語り、本当に楽しませて頂きました。総論も、そしてその次も(こっちは気長にv)楽しみにしています。

>池本さん
> ボトルに「Revenge」
その通りなんですよね。私も言及しようか最後まで迷いました(^^;
ストーリー自体が芝居がかってるので、ボトルも演出のために作られた小道具といったところでしょうか。リベンジ‐復讐‐というキーワードを、(ローラと視聴者に)ラベルという形で突きつけてみせたのかと。
カクテルベースが「Revenge」という銘柄の酒である…って考え方もできますけど、これだと少々こじつけっぽくて面白くないな~。
個人的な好みとしては、やはりバーテンダー・ルパンの凝った演出として見たいですね。

> パターン崩しそのものがまたパターンになってしまった
ここらへんのマイナス面は、残念ながら現在まで受け継がれちゃってますね。不二子だけでなく全般的に。
「『お約束』を外す」という「意欲」そのものが受け継がれて欲しいとこなんですけど…。

酒データ分析、お陰様で完走できました。毎回いただくコメントが大きな原動力になりましたし、池本さんが読んでくれるから頑張ろうと思いましたよ。データ面はもとより、期待以上に深く広く突っ込んだお話ができて、本当に楽しかったです。ありがとうございました!

>みゆさん
> やっぱりルパンたちが少しでも酒を飲んでいてくれたら…
まったくです。これだけ多くの酒シーンで呑んだくれてるくせに、よりによってこの話で呑んでないなんて…不思議な感じがしますよね。
地下で待機する五右衛門に次元が差し入れするシーン、自分用に酒瓶の1本でも紛れてないかと目を皿のようにして探したんですけど(笑)、やっぱりなかったです。
考えようによっては、この話における「酒」はあくまで表舞台の存在であり、芝居の作り手であるメインキャラたちは呑まないことこそが、ひとつの面白味なのかもしれません。地味に意表をついているというか、それこそ「お約束を外す」パースリらしいと言える…のかな?

銭形の自棄酒、まさに「酒ならナンでもいい」という風なのに、酔いどれても(変に気分が大きくなったりせず)分相応な酒を選んでいる様子も銘柄から窺えます(笑)
こうしてひとつひとつ見ていくと、ちょっとした芸の細かさに気付くことができてホントに嬉しい。イイ仕事してくれたスタッフさんたちに拍手を贈りたいですv

そして膨大なデータを提供してくださったみゆさんにも大きな拍手と感謝を捧げます。前々からのお約束をようやく果たせてホッとしたとともに、せっかくの共同企画が終わってしまうのが少し惜しい気持ちです。
データ分析したい対象は沢山あるんですよね。「次」もできるだけ早くやりたいと思ってます(あくまで希望…^^;)

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